15年の眠りから目覚めた鶴は、美しく成長していま、羽ばたかんとす。
酒蔵復活から美酒への階段を着実に上る、佐賀の煌星「東鶴」

平成21年に復活の狼煙を上げた東鶴酒造。
もともとは天保元年（1830年）に創業し、５代続く老舗酒蔵として歴史を紡ぎ、炭鉱で栄えた多久市の労働者の喉を潤してきました。
しかし時代が下がり、炭鉱の閉山による地域経済の衰退と人口の減少に見舞われて次第に醸造量も減少を続け、平成の時代に入ると間もなく休造のやむなきに至ることになります。
以来、約15年間休造状態が続き、６代目後継者に当たる野中保斉さんも蔵を継ぐことなく別の道に進まれたのですが、ある日同じ佐賀県内で人気を博していた日本酒を飲んで感動し、「自分もこんなふうに美味しいお酒を造りたい。」という願望にめざめ、一念発起して酒蔵復活に取り組み始めます。
勤めていた会社を退職して山口県の酒蔵で修業を積み、独立行政法人酒類総合研究所での研修を経て、ついに平成21年（平成20酒造年度）には、東鶴酒造を復活へと導いたのです。
日本酒需要が頭打ちの中で、造り酒屋を復活させることは並大抵のことではありません。家業を立て直し、飲む人を感動させるような美味しい日本酒を造りたいという、醸造家としてきわめて真っ当な願いはいま、見事に実を結びつつあります。
復活初年度は25石だった生産量は、酒質の向上とともに着実に増加し、６造り目の平成25酒造年度には150石まで伸びてきました。
注目を集める九州有数の銘醸地・佐賀の期待のホープ「東鶴」。美酒への階段を着実に上り、いままさに飛び立たんとする美しき鶴の如くその酒質に磨きがかかり、開栓後にゆっくりと花開く味わいは確実に進化を遂げています。