土井晩翠が愛した、宮城の風土を映す鏡酒「愛宕の松」
料理を引き立て、飲ませ上手な究極の食中酒「伯楽星」
究極の食中酒の看板に偽りなし、酒造りの信念に揺るぎなし、その味わいに一点の曇りなし。
美酒降臨「伯楽星」「愛宕の松」


「伯楽星・愛宕の松」を醸す新澤醸造店は、1873年（明治6年）の創業以来、およそ140年に亘り宮城県大崎市（旧志田郡三本木町）で営々と続いてきた老舗蔵です。
「荒城の月」で有名な仙台出身の詩人・土井晩翠が愛飲した酒を醸す蔵として地元にも親しまれ、格子窓と赤瓦の屋根が特徴の美しい酒蔵は、三本木町のランドマークともなっていました。
過去形で表現したのは、皆様も御存知のとおり、2011年（平成23年）3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とその後の４月７日の最大級の余震によって蔵は全壊の憂き目に遭い、美しい赤瓦をのせた歴史ある酒蔵は取り壊されて現存していないからです。
しかし、蔵元兼杜氏の新澤巖夫さんの不屈の精神で、新澤醸造店は不死鳥の如く再建に向けて動き出します。
震災直後から被災した旧蔵で倒壊の危険に細心の注意を払いながら造りを再開し、東北酒応援ブームによる需要急増で被災地各蔵の酒が欠品する中、一度たりとも品切れを起こさず安定供給を続ける離れ業を成し遂げた後は、矢継ぎ早に蔵の移転・再建を決断。
本社機能のみ現在地に残し、製造部門は三本木から南へ約75kmも離れた蔵王山麓の村田郡川崎町で、廃業後売り出されていた新築間もない酒蔵の建物を取得し、震災からわずか８ヶ月余りの11月には新蔵への移転・製造再開を実現させるという信じ難いスピードで震災復興をリードしてきました。
更に2013年（平成25年）には旧蔵のあった三本木に本社事務所兼店舗の再建が成り、悪夢のような大震災から約２年半の月日を経て、ようやく完全なる復興を遂げることが出来たのです。
国内でも指折りの近代的な酒蔵へと生まれ変わった新澤醸造店は、その後も酒米や製品を保管する大型冷蔵倉庫や最新鋭の自社精米機を導入するなどこれまで以上に徹底した品質管理と出荷管理により、一層の酒質向上を達成すべく努力を続けています。

究極の食中酒を標榜する「伯楽星」は、2002年（平成14年）に現蔵元の新澤巖夫さんが宮城県最年少杜氏就任と同時に誕生した新たなブランドです。
東京農業大学在学中の若干20歳で利き酒選手権優勝という類稀れなる利き酒能力を持つ新澤さんは、卒業後廃業の危機に瀕していた蔵を立て直すべく大改革を断行。
既存銘柄「愛宕の松」は宮城県産米と宮城酵母にこだわる宮城づくしを極めた酒、新銘柄「伯楽星」は食を引き立てる名脇役に徹した酒とコンセプトを明確にし、普通酒主体のローカル蔵から約90％が純米系の吟醸蔵へと短期間で変貌させたのです。
危機をバネに、強靭な精神力と迅速な行動力を発揮して大きく飛躍していく新澤さんのスタイルは、誰にも真似することが出来ないでしょう。それはまさに伯楽（逸材を見い出す名人）の名馬そのもの。天に向けた跳躍が今、始まっています。

究極の宮城酒を目指した「愛宕の松」、食中酒のポジショニングにおいて他の追随を許さぬ「伯楽星」。いずれも理想を具現化するための酒質設計は明快かつ徹底しています。
特に「伯楽星」は開封時に酒の味わいがピークを迎えるよう、出荷される地域や季節を勘案してやや若い状態で蔵出しされるなど、きめ細かな管理体制を敷いて理想とする酒質の維持を図るための独自のシステムが確立されています。
インパクトを求めず、静かに食に寄り添い飲み飽きしない酒。いつしか盃が進み至福のひとときを醸し出せる酒。お客様自身が伯楽となって、この酒に込められた極みを見抜いていただけるならば、扱う酒屋としてもこれ以上ない喜びと思っております。